虚無が閉じた星 “QB Planets”
この宇宙には不便も何もない。好奇心を掻き立てるものすらも。
ルービックキューブをモチーフとした惑星の数々を舞台に繰り広げられるスライドパズル。
盤面上に散らばる三つの星を全て集めて宇宙船に乗り込むことでクリアとなる。
ルービックキューブは従属の難しさを端的に説明できる一つの完成されたパズルだが、しかしながらこのパズルではその特徴が完全に潰されてしまっていて、何の変哲もないただの移動手段でしかなかった。
パネルごとの繋がりが全くないため、目的の面に主人公を合わせる行為を繰り返すだけの作業でしかなく、その内容はスライドパズルと呼ぶにはあまりに空虚で、もはやただの点つなぎである。
惑星固有のギミックパネルや進入不可の障害物を置くことで少しでも複雑にしようと工夫したのだろうが、ルービックキューブの最大の強みである連動して動くもどかしさに絡めたものがないので、回す回数を多少増やすだけでしかない。
実績として所要時間や回した回数に制限を設けることで挑戦課題としているが、ボーダーが恐ろしく低いのでまるで機能していない。
手数短縮狙い等独自の縛りプレイでもやらない限り、このパズルに手応えはまるでないと言っていい。
2Dにしろ3Dにしろ、スライドパズルの面白みは一箇所ずらすと連動してずれるものがあることだと思っている。
連動してずれるものとその他のものに違いがなくなってしまえばおしまいである。
余談だが、内面はボロボロでも外面はそうでもなく、特に惑星の操作の快適さは素晴らしいものだった。
視点変更も狙いの行のスライドも思いのままで、鋭角で見づらい面ですらも難なく操作できる。
立体の操作を主とするパズルではその操作性がしばしば欠点となるが、このゲームにおいて操作性にストレスを感じることはほとんどなかった。
追記
アップデートで新しい問題集として惑星 “Vapor 79” が追加されたので、それに関する追記。
配線パズルという形でパネル同士に関係を持たせたことでようやくスライドパズルらしくなった。絶対的な手応えには未だ欠けるが、筋道が細められ最小手数も踏むべき手順も間違いなく多くなっている。
安易な水増しに逃げずパズルゲームとして洗練しようとする気概は素晴らしい。
ただ、システムの不安定さが目につくのが気がかりである。
通電していないはずの台が浮いたり、通れないはずの場所が通れてしまったりなど、その内容はパズルの達成感を損ないかねない。
実はこれでもマシになったほうで、アップデート解禁直後はまともにプレイすることすらできないほどに酷かった。バグの温床なあたり、この星の開拓にはかなり無茶をしたのではないかと邪推してしまう。