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パズルゲーム感想アーカイブ

ねじれてるようでねじれてない夢 “Back to Bed”

彷徨い歩く世界が夢の世界なら、その人が夢遊病かどうかなんて関係がないのでは?

人面犬のサボブを操作し、勝手に歩き回る夢遊病のボブを寝室まで誘導するパズル。
ボブの挙動は直進だけだが、壁にぶつかると時計回りに90°方向転換する。この性質を利用して、ボブの進行方向に先回りして障害物や橋を設置することでボブを導いていく。

このパズルは簡単な上に問題数も少なかったため大して手応えはなかった。経由地に指定が入るNightmareモードに入ってようやくといったところだが、そもそもレベルデザインからしてルールやゲーム上のデザインとでうまく噛み合っていない印象が残った。
フィールドはエッシャーの絵に影響を受けたであろう見た目通りのねじれた空間だが、ねじれの影響を受けるのはサボブの移動だけである。空間をねじって切り離したその場所も障害物の物置として使われているだけで、あとは段差や行列の対応ラインの関係をわかりにくくする不親切な飾りでしかない。
また、ボブはうっかり盤外に落ちてもスタート地点にリスポーンしてリスタートになるだけだが、リトライ扱いとなる接触厳禁の敵がいくつか存在する。これらはただの邪魔者でしかなくしかも対処は一様に隔離と単調な使われ方しかされていない。暗に思考の落とし穴へ誘導したり、回避とボブの誘導を同時に行わせるような細い筋道の解答を求める組み込み方をしないのなら、ただストレスを生むだけでしかないのだからなかったほうがよかったのではないだろうか。
ボブの誘導は猶予が多く残されていて急ぐ必要がないのはボンヤリしたマヌケにとって好都合だったが、制限時間内に用意できる機構を考えさせたりなどうまく使えばレベルデザインの一つとして機能してもおかしくはなかったはずだ。
いっそのことパズルをやめて迫り来るプレッシャーと戦わせるような、例えばホラーゲームあたりに舵を取ることもできたのではないだろうか。結果的に、このパズルはパズルであるがゆえに中途半端になってしまった印象を受けた。

ちなみに、この作品には実績が存在する。その一部に縛りを加えた別解を求めるものが存在しているのだがこれに関しては好印象だった。
こういった発想の転換や気づきへの誘導が多い作りになっていたならば、同じように簡単だったとしてもこのパズルへの印象はもう少しマシなものになっていただろう。