吹き荒べ花嵐 “Flower”
風と一口に言ってもその種類は様々である。
風になりたい?どんな風になりたい?
花を咲かせる風となるシミュレーション。
やらなくても察しがつくほどパズル要素なんて欠片もないのだけど、この作品はなぜかApp Storeパズルカテゴリのトップページに堂々載っていて、それが購入のきっかけとなっている。製品ページのジャンル区分もファミリーとアドベンチャーなのでパズルカテゴリに誰がなぜ載せたのか余計に意味不明なのだが、作品そのものの評価とは分けて考えるべきとして、以下は純然たるシミュレーションとしての感想となる。
大地のあちこちには開花を待つ花が咲いていて、風が触れると花開き、代わりに花びらを1枚戴く。花の秘めたる力は凄まじいもので、中には痩せた土地に緑を蘇らせたり、風を突風にしてみせるものもある。
一つのステージはエリアごとに区分けされていて、条件を満たすごとに次のエリアに進めるようになる。例えば最初のステージ、草原の最初のエリアでは花の力で緑化を完了させれば次のエリアに進めるようになる。
このゲームにHPや時間制限などの管理を必要とするシステムは一切ない。中には花びらを焼く危険な物が存在するステージもあるが、花びらの枚数はただ風の見た目が変わるだけで評価制度の類はない。それぞれのステージにはsecret flowersが3輪隠されていて収集要素となっているが、それだけである。
風となって思うがまま自由に駆け抜ける爽快感は心地よく、舞う花びらは美しい。
だが悲しいかな、花びらがついて来るとわかれば集めたくなるのがマヌケの性で、収集要素どころか一輪の花すらも取りこぼしたくなくなってしまって、その結果マヌケの風は急激に方向転換をする、同じエリアを執拗にぐるぐる回る、強風吹き抜ける一方通行の回廊では後ろ髪を引かれる、そんなみみっちい風になってしまっていた。
花咲く範囲がもう少し広ければ多少はマシになっていたのかもしれないが、secret flowersの隠し場所からして執拗な探索の風が変わることはなかったかもしれない。
自由に飛び回れるようにゲームとしてのシステムを極力排除したんだろうけど、それでもやはり不十分というか、ゲームを捨てきれずに中途半端になってしまっていた印象は拭えなかった。
風への憧れはラブソングと同じくらいポピュラーに歌われるもので、私も風になりたい思いはあるけど、なりたかったのはこんなつむじ風じゃなかった。
実はこれでもマシなほうで、実績機能のある他プラットフォームでは精度の必要なアクションを求めるという思いっきりゲームと化す実績が存在してしまっている。
iOS版に実績がなくて本当によかった、でなければつむじ風ではなく怒りの暴風となっていたに違いない。