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パズルゲーム感想アーカイブ

交わらない光と影 “FRACTER”

光と影が混ざり合うとどうなるか?
エッジを際立たせる存在が消え、何も印象に残らなくなる……これが答え。

影に呑まれないように逃げながら、道中のパズルを解き道を拓き、光さすゴールを目指す自称パズルアクション。
だが、実態はパズルとアクションが完全に分離した、しかもどちらの要素もあまりに単調でつまらないゲームである。

アクションは襲い来る影からのスニーキングだが、相手の視界は狭い上BGMで探知具合がある程度把握できるので、影の目を掻い潜るのは簡単である。
とはいえ、パズルを解く際は強制的にやり直しになる関係でストレスにしかならないので、一手間はかかるものの光を使って消したほうが後々楽になる。
光を使った駆除が使えないエリアはほとんどないので、このスニーキングアクションも実際の印象だとかくれんぼや鬼ごっこというよりは誘い込み漁に近かった。
ホラーゲームによくあるような、敵に見つかるか否かのギリギリの攻防といった手に汗握る展開などは存在しない。ただただストレスの芽を摘むための単調な作業が続くだけである。

そしてパズル要素だが、あるのは平面的な点つなぎ、あるいは倉庫番ライクとすらも呼べないようなブロックを押す作業だけである。ステージをわざわざ3Dの曲面にした意味は全くなく、パズルの盤面は何の変哲もない矩形の平面で、その上に乗っかっているのはグリッド制パズルである。
盤面こそ広大ではあるものの、見た目だけいたずらに広くしているだけにすぎない。全体像を捉えてしまえばやるべきことは簡単で、そうしなくともとりあえず全てのギミックが必ず使われるように合わせていけば勝手に解けてしまうほどに底は浅い。

なぜ形式的なパズルにくだらない鬼ごっこを入れたのか?なぜ光と影のおいかけっこにつまらないパズルをさし挟んだのだろうか?
パズルとアクションのどちらをメインで考えていたのかはわからないが、いずれにしろそのために注いだであろう努力が互いに全く噛み合っていなかったことは確かである。

レベルデザインも大概だが、この作品にはさらに酷い欠点が存在する。それは操作性の悪さとデバッグ不足である。
操作性の悪さはこの作品の初出がスマートデバイス向けとはとても思えないほどで、本来なら簡単であろうはずのスニーキングですらままならないほどだった。
移動はダッシュだけではなく忍び歩きもあるがほとんどダッシュに暴走してしまうし、そもそも忍び歩きによる恩恵なんてものは全く感じられなかった。
そして簡単なはずのパズルも本来なら通らないはずの作用によって、永遠に解けない盤面が出来上がってしまうことがあった。

外面も中身も中途半端なのだからせめてシステムくらいは確かなものであってほしかったけど、結局全てが中途半端だった。