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パズルゲーム感想アーカイブ

廻り交じる境界と領域 “TRIZ - Sacred Geometry Puzzles”

サブタイトルが †神聖幾何学† と仰々しい表現だが、中身は至って普通のスライドパズルである。

指定された形および色の図形になるように点の位置を揃える回転式のスライドパズル。
プレイヤーが操作する円上には等間隔に区別のある点が打たれていて、指定の点同士には囲んだ領域を特定の色に染める線が引かれている。円を回すとそれぞれの点に連動した領域が動きカラフルな図形を形作り、また領域同士は交差するとRGBの法則に従い色が変わる。
最終的には点の位置を揃えなければならないのは一般的なスライドパズルと同じだが、このパズルではその前段階として条件を満たす点の位置関係を探るフェーズが必要になる。

……のだが、ほぼ全ての点に何かしらの対応があり、それぞれの領域が幾重にも重なり合うため、点の位置関係を探るのは大変苦痛である。
それぞれの点に用意された情報は点同士の対応関係が形作る領域だけで、個別に番号や色が振られているわけではない。この点はここに合わせるのだとわかっても、動かしているうちに頭の中で位置を固定した点が動いてしまい対応関係がぐちゃぐちゃになれば、頭の中も連動してぐちゃぐちゃになる。パズルをやるより以前に、まるで間違える度に盤面がかき乱される神経衰弱をやらされているような気分である。
一応、それぞれの点に色を付け見た目にわかりやすい区別を与えるヒント機能はあるが、合わせるべき場所すらも指定してしまっているので少々親切すぎる。合わせるべきは条件の図形であって、全く対応関係の与えられていない空白扱いのできる点もあるのだが、ヒントを使うと途端に一意の解に合わせる何の変哲もない普通のスライドパズルになってしまうので難しいところ。
私はパズルがしたいのであって神経衰弱がしたいわけではなかったので、珍しくヒントを惜しみもなく使いさっさと解いてしまったが、それでもやはり元が空白の少ないスライドパズルなので、連動して動くもどかしさや難しさは十二分に感じることができた。空白が多い問題もそこそこあったが、それらはおそらく本来であれば領域の重なりによって点の神経衰弱が難しくなっていたものではないかと思われる。

ただ、ヒントを使うにしろ使わないにしろ、この難しさが意図して作られたものなのかどうかは疑問が残る。癒しだか瞑想だか聞こえのいいキャッチコピーを謳っているものの、少なくともこのパズルの難易度は軽い集中で解けるような生やさしいものではないし、ヒント機能をオフにすれば解いている時の気分もますますリラックスとはかけ離れたものになる。
このパズルは最初から組み上がっているものを適当に数手崩して作られたもので、ゆえに緩く解けるものと勘違いしたまま売りに出しているのではないかとマヌケは予想している。
スライドパズルは楽しいが、この作品独自の面白さがあるかと問われたら答えは否である。この作品のユニークなところとは見た目にわからない賽の河原のごとき苦痛があることだけである。

ちなみに、この作品には大量の実績が用意されているが、普通にクリアするだけだとその大半は未解除のまま残ってしまうだろう。
これらの解除条件はどれも不毛な作業を要求するものであり、わざわざ作業の労力を割く価値はないが、一応以下にその攻略情報を残しておく。
なお、唯一 “Curiosity” に関してだけはマヌケの検証虚しく未解除のまま残ってしまったので、完全な実績コンプを保証するものではないことをご了承いただきたい。

Good Screen Polishing

適当な一点を掴んだまま乱暴に回し続けているうちに達成。
正確な解放条件はわからないけど、名前からして画面を拭くようにぐるぐるするといいのではないだろうか。

n Days In a Row!

nは3、5、7、10の4種類。指定の日数だけ連続でこのゲームを起動するのが解放条件。
日付でのカウントというよりは24時間刻みで見ている気がする。

Tell n Friends About the Game TRIZ

nは1、5、10、25、50、100の6種類。指定の人数分共有機能を使ってこの作品を広めるというなんともはた迷惑なスパマー養成実績である。
だがマルチ商法のように友人を売る必要はない。送信先を記憶しないので自演100回で十分である。
ただし1回の起動につき1回分しかカウントされないので注意。100人分の実績がほしければ、このゲームを起動して自演共有してこのゲームを閉じるというプロセスを100回やらなければいけないということである。

nth entry into the Game

nは1、25、50、100、250、500、1000の7種類。このゲームの起動回数で解除される実績である。
ただしタイトルの六角形が崩壊して問題選択画面になるまで待たないと1起動にカウントされない。虚無。

Just Well Done! / Persistent Thinker / Meditation Master / Triangular Dreamer

それぞれ同じ問題に対して15、30、45、60分以上連続で悩み続けることで解除。マヌケの証明。
累計ではないので途中でやめてしまうとカウントがストップしてしまう。スリープをオフにして放置することで簡単に解除できる。

追記

大型アップデートにより問題数が増えただけでなく、それぞれの問題に難易度別に3種類のパターンが用意されることで実質的に問題数は3倍以上となった。どの問題のどの難易度でも最初の盤面から5手以内で解けることを強く保証していて、リスタートや巻き戻し機能などが入って遊びやすくなっている。
簡単になりこそしたが、3種類の難易度を用意したことや最大手数として5を選んだことなど、パズルゲームとしての設計思想はさっぱり見えてこなかった。むしろ完成形から適当に数手崩すというやり方で適当に作っているだけという予想を裏付けるだけのような気がしてならない。
パズルとしての難しさを損なうばかりで問題数だけ無駄に多くなったせいで水増しや作業感を強く感じるようになってしまった。アプデ前の分だけで十分だった。