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パズルゲーム感想アーカイブ

種も仕掛けもない世界 “Uri: The Sprout of Lotus Creek”

音符マークを見て跳躍を想像する人がどれだけいるのだろうか?

ノンストップで歩き続ける主人公Uriを各種コマンドで制御しながらゴールへ導くパズル。
システムメニューアイコンにプレイヤーのシステム操作だけではなくUriおよびギミックに対する作用も割り振られていて、プレイヤーはアイコンの位置を自由に動かすことができる。
例えば一時停止マークのアイコンはプレイヤーがタップすればポーズ画面になるが、Uriがそのアイコン上を通過するとその場に留まるようになる。また、Uri以外にも反応する背景のオブジェクトに重ねるとその動きを止める。

このようにメニューアイコンを動かしてゲームへの作用を手段として謎解きしていくパズルなのだが、本当にそれだけで延々間を持たせているだけに過ぎない。
わざわざシステムメニューをゲーム世界とリンクさせたストーリー上の面白さやメタ的なトリックなどは一切ない。

プレイ環境の面でもこの作品には欠点が多い。
足場とそうでない背景の違いはわかりにくいし、分かれ道でUriがどちらを優先するかは歩かせてみないことにはわからない。
橋の長さとやり直し回数のゲージが連動しているせいであれこれ試すのも憚られる上、見張りの索敵範囲や越えられる段差の高さ等Uriの制御はシビアなため細かい位置調整をしなければならない。
ただでさえ手応えのないパズルなのに、加えてとにかくテンポが悪いという印象が強く残ることとなった。

どんなに高尚な設定を考えたところでその先のリンクが浅ければそれらは所詮一発芸でしかない。
システムメニューをゲーム世界にも作用させるというのは一つのミニマルデザインだが、それを狙って作ったとも到底思えない。
ストーリーもパズルも底の浅い作品だった。

ちなみに、このゲームには実績機能がある。
難の多いシステムのくせノーミスクリアを要求してくるのが腹立たしいのだが、初回プレイと一度リセットを噛ませた場合とで挙動が違うのか、6面のノーミスクリアに関してはどうしても達成することができなかった。てこを使ってUriを高く飛ばすギミックがうまく動作しないからだ。
これに修正が入る日は来るのだろうか?