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パズルゲーム感想アーカイブ

倣いロボットの行進 “#AkiRobots”

最初から最後までもどかしさたっぷり。
何をすればいいかすらわからず迷った問題も少なくない。

電源持ちのロボットをコンセントのある場所まで辿り着かせればクリアとなるパズルプラットフォーム。
ロボットは電源持ち以外にも移動の助けとなる様々なものが存在するが、このパズルの特徴として、彼らの移動は皆連動している。全体が同時に動くので、動かしたいロボットだけを動かすには相応の手順が必要になる。
中には一切動かないロボットもいるが、これによってこのパズルプラットフォームはスライドパズルのような従属して動くもどかしさに加えてさらに倉庫番のようなアプローチの方向の制限が加わっている。

もどかしさを生む趣向がこれでもかというほどに詰め込まれていて、しかもその融合は見事に成功している。
ロボットは移動手段であると同時に障害物でもあるというのがねじれになっていて、単純に乗り越えるべき壁の数を増やすだけでいとも簡単にややこしくなる。目の前のたった一台のロボットを回避することすら難しいこのパズルを解くためには、問題を全体で捉えて経路を作ることが必要となる。
このパズルで簡単な問題はごく一部だけで、最初から最後まで骨のある問題が揃っている。何をすべきかは明白でも、どうすればそれがなせるかはそうではない。
全体が動くもどかしさに存分に悩まされたので満足感はかなりのものだ。

ただし、レベルデザインは解答を制限しきれてなく、荒削りという印象を拭えない。
このパズルは制作者のテストプレイによるものであろう手数評価を設けているが、規定手数以下を達成できる問題は多い。中には大胆に削減可能な問題すらもあり、抜け道を潰しきれていない事実を如実に物語っている。
また倉庫番やパズルプラットフォームではあと1マス、あと1段が届かない落とし穴が作られることがよくあるが、このパズルにはそれがない。悩むのはどう解くかの計画段階だけで、方針が決まってしまうと残りの1マスはアドリブでの調整で簡単に潰せてしまえた。

とはいえ、見た目だけでため息が出るほどにまでねじってみせたこのパズルは十分にエレガントでその素晴らしさは揺るぎない。
荒削りの段階でここまでの良問というのが末恐ろしいほどだ。制作者の今後の活躍に期待である。

ところで、レベルデザインの隙を暴いた手数評価だが、難易度を上げるために組み込んだのだとすれば不要だったように思う。手数は自分の考えの甘さを理解する助けになるが、同時にプレイを神経質にさせてしまう。
もし組み込むのならば、手数を減らす手順そのものをテーマにした問題が必要になるだろうが、このパズルでそれに頼る必要はないだろう。