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パズルゲーム感想アーカイブ

霊障けんぱ “Vestigium”

「簡単な問題がたったの45問だけの、1時間弱で終わるパズル」
この事実が示すのはこのパズルがさっくり解けるものだということではない。簡単な問題にすら1分もかけさせられる何かがあるということだ。

安全なマスを通ってゴールに辿り着けるよう、移動の手札を切っていくパズル。
主人公Qirieは汚れを祓う蓮の花を求めて各地を旅するが、その道は見た目通りに歩けるわけではなく、道に見せかけた底なし沼があちこちに存在している。真に安全な道は彼女のウィスプが照らし出すので、その場所を覚えておかなければならない。
Qirieの移動は方向と移動距離が指定された手札を選んで切る方式で行われる。このゲームはゴールまで辿り着ける手札の切り方を考えるパズルに、記憶力テストという形で制限をかけたものである。

そこに全く面白みはなくとも、ストーリーを考えれば記憶力テストをやらされることに納得はできる。だが移動になぜ手札による制限が加わるのか、パズルの内容にストーリーとの関連はない。
パズルにねじれがあるわけでもなければ作品のモチーフと絡めた独自性をルールに反映させるような工夫があるわけでもなく、独立した2要素があるだけの何の面白みもない貧相なゲームになってしまっていた。
ゴールまで辿り着ける手札の切り方がそもそも制限されているのだから、それを総当たりすればいいと考えると、最初のテーマであろう記憶力テストの存在意義すら怪しい。記憶力が問われない問題や移動のタイミングを見計らう必要のある問題などを見ると、このゲームが何を目指していたのか余計にわからなくなる。

このゲームの不満はパズルの単調さだけに留まらない。演出や処理などが鈍重で、非常にテンポが悪いのだ。
やり直す度にウィスプによる安全地帯の提示を見なければならずこれだけでもかなりのストレスだが、処理の遅さはカードを1枚切るだけでも0.5秒ほどの反応の遅れがあるほどで、しかもうっかり先行入力が通ってしまうとマスでもない場所を踏んでしまう有様である。
移動の方向でキャラクターの向きを変える演出もなく、クリアしたステージはリプレイ不可と他にも欠点は目立つ。

ゲームという遊び以前の問題として、そもそも技術が足りていないのではないだろうか?