未成放置の休息地 “Calma”
手抜きか計画凍結か。
過程はどうであれ、結果として無様な未完成品であるという事実に変わりはない。

トレーラーが見つからなかったため画像に差し替え。
盤面上の全てのボールを潰せばクリアとなるパズルである。
プレイヤーはボールを踏むことのできる青いブロックを1マスずつ操作していくが、このブロックは同じ色のボールが並んでいる場合、1歩1マスの制限を超えてまとめて一気に潰すように動く。また、ブロックが踏んだマスは通り過ぎるごとに崩落していく。
その内容はさながら滑る床のパズルと一筆書きの合いの子といったところか。
しかしながら、レベルデザインはひたすらに単調で手応えはまるでなかった。
こうなってしまった要因には平均的な盤面のサイズの小ささもあるだろうが、一番は滑る床の趣向が一筆書きの中間地点を指し示す矢印として機能してしまっていることだろう。
黒い円錐は単独で踏みにいくとミスになる障害物だが、間にボールを挟むと円錐を終点として滑ることのできるギミックと化す。崩落する足場の兼ね合いを考えるまでもなく、とりあえず円錐とボールの隣り合いを見てそれらを結べるように辿るだけでほとんどの問題は解決してしまう。
滑る床のパズルと一筆書きパズルの中途半端な混在はレベルデザインの欠点になっているだけでなく、ルールをわかりにくくしていたようにも思える。作中にルールを説明する言葉は一切なく習うより慣れろのスタイルだが、言葉を不要とできるほどのわかりやすさはない。
青いブロックを操作キャラクターとして、踏み外せばミスとなるグリッド制の盤面に色分けされたボールと障害物たる円錐にワープポイントと出てくるギミックはこれだけだが、1歩の移動と滑りの混在、円錐のルール、クリア条件など、問題をチュートリアルとするにも曖昧で一発ではっきりとは理解できない中途半端な内容ばかりで、正確に理解できたのはしばらくしてからである。
このパズルは工夫すれば歯応えを出す余地もあるのかもしれないが、このルールのわかりにくさのせいで面白くなる気配が全くしない。
“Calma” というタイトル、そして南国の浜辺を想起させる盤外からして、この砂を噛んだようなつまらなさは癒しを履き違えた結果というよくあるケースの一つなのかもしれない。
だが、実はこのパズルの中途半端さはそれだけでは済まないので、最初からそのつもりで作ったというよりは手抜きの言い訳として癒しの外面を間に合わせで貼り付けたのではないかと邪推してしまう。
このゲームはUIや処理といったシステムの面においても欠陥を抱えている。ブロックとボール、崩れる足場の処理を意味もなく3Dにしているためか、足場が崩落しなかったり、変な場所にワープしたりする。また、解いた問題をやり直すことはできない。
パズルに関係のない盤外の環境は無駄に凝っていて、時間の流れと共に影が動き明るさが変化するという表現が取り入れられているが、昼夜の遷移が不自然で日暮れと共に急に影が伸びるという不自然な内容になってしまっている。
そして、最終問題はおそらく意図的にクリア不可能な盤面になっている。アップデートで問題でも増やす予定なのだろうか?
幸か不幸か、処理の欠陥を逆手に取ることでクリア自体は可能だが、想定していないのかあるいはクリア時の演出も考えていなかったのか、ただタイトル画面に戻るだけでリスタート以外にどうしようもなくなってしまい、実際にリスタートすると最初からやり直しになる。
問題数は数えていないがおそらく50もないだろうか。不具合だろうかと疑った問題は最終問題という名の通行止めだった。それを含めてすら全て解くのに30分もかかっていない。
この作品はそもそも未完成品である。中途半端というのは試行錯誤の果てではなく放棄の結果だろう。