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パズルゲーム感想アーカイブ

マシュマロ奉行のひねくれキャンプ “Campfire Cooking”

バーベキューに馴染みのないマヌケにはさっぱり想像のつかない料理、焼きマシュマロ。
見た目はおいしそうでも、食べてみなければわからない。

色々なものが刺さったフォークを動かして、全ての料理をほどよく火にかけた状態にすればクリアとなる倉庫番ライクなパズル。
メインディッシュとなるマシュマロは表と裏があり、フォークを横にスライドすることで表裏を切り替えることができる。充実したキャンプのためにはマシュマロの両面に火を通す必要があるが、二度火を通すと焦げてしまいミスとなる。
焚き火の小さな囲いの中、一つのマシュマロも焦がさぬように四方から伸びるフォークを捌いていかなければならない。

解き進めていくにつれ、新メニュー・鍋料理によってクリア条件に追加が入ったり、焚き火がコンロになったり着火と消火の管理も組み込まれたりするようになっていくが、フォークを動かしていく倉庫番であるということは終始変わりない。
フォークは先端を基準としてグリッド制の盤面上で動かしていくが、フォークの柄は場外にまで伸びていて、先端だけでなく柄を当てることでもオブジェクトを動かすことができる。
直線が主体となることで、このパズルは倉庫番で考慮が必要となる動かすべきものと方向、方向転換の仕方がユニークなものとなっている。複数のオブジェクトを引っかけてまとめて動かす楽しさや、手前で引っかかって先端が思うように動けないもどかしさなどは由緒正しき倉庫番では味わえないものだろう。

しかしながら、実際に解いてみると思ったほど手応えのないパズルだった。余白が広いというレベルデザインの隙もあるだろうが、本質はおそらくそこではない。
このパズルはマシュマロの両面焼きを必須としたため、逆算して一度焼いたマシュマロを保護するための安全地帯が必要となる。それらにフォークの転回エリアと共有するマスがなければ、その分だけ解決すべき事柄は分離して簡単になってしまう。そしてこのパズルは直線の制御を主軸に置いたため、確保すべきエリアもまた直線的かつ広めになってしまいやすい。
このパズルにおいて、フォーク同士は互いに邪魔し合うもどかしい存在ではなく、協力関係にある思考の友である。
歯応えのある良問もいくつかは存在したが、それらの大半は磁石付きの鍋料理オンリーの問題である。思うようにフォークを回せないもどかしさは強かったものの、限られた狭い盤面でマシュマロを焼くのに苦労するもどかしさは薄かった。
そしてそれらですらも思ったほど満足感が得られなかったのは、気づいたら勝手に解ける形になっていて、苦労して自力で解法を導き出したという達成感に欠けていたからだろう。

ただ、あくまで予想に反して手応えがなかったというだけの話なので、最初から舐めてかかれるほど手応えがなかったわけではない。
少なくとも並みのおつまみパズルよりは難しいはずだ。