三角形上独立加算法 “Cotrio”
注視すればするほど、全体は見えなくなっていく……だがそれはプレイヤーに限った話ではない。
正三角形の頂点および中点の6点をマスとした盤面上で、正三角形を形作れる3点が0を除く任意の数で (一つ目のマスの数) + (二つ目のマスの数) = (三つ目のマスの数) の関係性を満たすように与えられた数を足していくパズル。
問題ごとに3種類の数が与えられ、マスに埋める数は一手ごとにこの中からランダムに選ばれる。条件を満たすと二つのマスの数の和となる三つ目のマスが色付き、3点の数字はそれぞれ0に戻される。6点全てのマスを33手以内に色付かせることでクリアとなる。
ただし、0以外の数で同じ数を隣り合わせることはできず、揃ってしまうとミス扱いになりやり直しとなってしまう。
進行度を表す指標は存在するが100問足らずで100%となり、以降も永遠にパズルは続いていく。
3種類の数の組み合わせの和と差、偶数と奇数を考慮しながら埋めるべき数を逆算しつつ、数が隣り合わないよう振り分けていく……このパズルは一見するとそういった注意深さが求められるかのように見えるが、そんなことは全くなく、半ば作業ゲーに近いものだった。
3種類の数をそれぞれa、b、cとすると、一つマスが埋まってしまえば、a、b、a+bを作り、残りのcを色付いたマスに乱暴に放り込むだけで解けてしまうのだ。
色付いたマスの数字を0に戻さないようにする機能もあるが、足し算の回数が増えるだけで変わらずこのスキームが通用する。マスの数のカウントは33を上限としてリセットされるので、多少手数を犠牲にすることでマスの数をを強引に0にすることすらもできてしまう。
仮に自身の暗算能力を優先して、完全な作業から脱した自動生成パズルとして楽しもうとしても、ルールとの相性が悪いため難しい。
自動生成パズルの魅力は、惰性であるとわかっていてもやめ時を失うような、ぬるま湯のような緩い思考に浸れる心地よさにあると思っている。だがこのパズルでは、そういった思考下ならば特に発生しやすいうっかりミスによってその連続性が阻害されてしまう。エフェクトやSEなども、そこまで意図して作ったわけではないだろうが、結構びっくりするのでなおさらである。
勝手な想像だが、この作品において制作者が作ってて楽しかったのは背景の3Dグラフィックであるとマヌケは睨んでいる。
無機質で退屈なパズルを取り合わせる意味はさっぱりわからないが、そうでなければわざわざ背景だけをじっくり眺めるモードなんてものを作る必要はなかったはずだ。