一心同体二人三脚 “CUBE CLONES”
キューブの背中にキューブを乗せて、キューブがこけたら皆こける。
盤面全体が動くタイプのグリッド制パズルプラットフォーム。
全てのスイッチを同時に踏むことでクリアとなる。
どの問題も1個のキューブがぽつんと佇んでいるだけの状況から始まるが、プレイヤーは任意のタイミングで頭の上にコピーのキューブ、つまりクローンを生み出すことができる。一問の中で作れるクローンの総数は限られているが、天井がなければ何個でも重ねることができる。
作中の説明では赤いキューブのことを便宜上「プレイヤー」と呼んでいるが、移動は全員連動しているのでクローンの生成能力以外に区別はない。またこの能力は任意のクローンを選んで譲渡することができるので、実際は皆一切のオリジナリティを持たないスワンプキューブである。
全てのスイッチが押せさえすればいいのでキューブを余さず動かす必要があるわけではないが、レベルデザインに無駄はなく、余白は一切残されていない。
同時に動くがゆえのスライドパズルのような従属のもどかしさや、倉庫番におなじみの1マス足りないもどかしさ、足場を離れ落ちてしまうパズルプラットフォームのもどかしさなど、小さな盤面にこれらのシンプルかつレガシーなねじれが詰め込まれている。
無駄がないとはいえど、しかしながら隙がないわけではない。思考の落とし穴すらも存在しないので、大半の問題がとりあえず動かしてみるという試行の段階で解けてしまい、そうでない問題も少し考えただけで答えが見えてしまう。
ラストの数問はさすがに難しかったが、それ以外でマヌケが一番悩んだエリアは最初の20問だったように思う。全体が動くというルールに思考が慣れていなかったこともあるかもしれないが、多数のスイッチと段差を用意して狭い盤面の中で複数のキューブを動かすという最も基本的な従属のもどかしさに忠実な作りをしていたのが大きい。
ギミックという形でプレイヤーに選択肢が与えられてしまうと、大局的に考えるよりも先にそれらを有効に使う手段を考えてしまうので、盤面のサイズの小ささとレベルデザインの無駄のなさゆえに試行段階で解けるという事故が起こってしまう。
いかにしてキューブの位置をずらすかがこのパズルの主軸なので、ずらす距離があからさまに離れてしまうと逆に簡単になってしまうというのが考えものである。
より多くのキューブが同時に動くしかない場面をより長く作らなければならないが、ゴールがあからさまな離れ方しかしていないと複数のキューブで同じ動きが可能な領域を浮かび上がらせてしまいかねない。
余白を覚悟でダミーのエリアを作ったり、犠牲込みでキューブを広々動かすほうが堂々巡りに落とし込めるだろうか。