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パズルゲーム感想アーカイブ

模索と協力のトラップフィールド “Death Squared”

両手が同時に動くマヌケはピアノが弾けない。

日本語タイトルは『ロロロロ』。
全ての自機を対応する色のゴールの円の中に収めればクリアとなるパズルアクションである。
2人または4人でのマルチプレイが可能だが、2人分の操作を一手に引き受ける形で1人または3人でもプレイすることができる。

プレイヤーができる操作は移動だけであり、対応する色の機体でのみ通り抜けられるレーザーや踏むと対応する場所に変化を及ぼすスイッチといった、移動を制限するギミックによって移動とギミック発動の順序を考えさせるパズルとして成立している。
そしてこの作品の、ゲームの長所であると同時にパズルの短所でもある最大の特徴は、ほとんどのギミックがその発動タイミングから中身までの一切を伏せていることだ。
少し歩けば自機を押し出す壁が動き、ゴールを踏めばトゲが飛び出す……マルチプレイで初見殺しを笑い合い、解く時は真面目に協力とメリハリを付けたプレイをする分には長所になり得るのかもしれないが、「パズルにおけるギミックはルールである」が信条のパズルの奴隷にはこれが大きな短所として作用した。
視点移動ができないことをいいことに意地悪に配置されたギミックや、アクション特有の少しのずれが即ミスに繋がることによるストレス、またマヌケの頭が基本的に同時操作を苦手としていることもあって、この作品に対する印象はクリアまでの筋道を考えるパズル的思考より、ギミックを覚えるための死に覚えゲー的作業感のほうが強く残ることとなってしまった。

この作品は元がGlobal Game Jam 2015出展作品であり、規定のテーマ “What do we do now?” に変わらず沿っているとするなら、このゲームの設計思想は総当たりを手段として一部始終連続した思考をもってプレイするパズルではなく、次にどう動くべきかの判断をその場その場で下していくアクションのほうだったということなのだろう。
ギミックの内容を全てオープンにしたグリッド制パズルとしていれば良質なパズルになっていたかもしれないと思えただけに、ストレスによる不毛な苛立ちが目立ってしまったのは残念で仕方がないが、予期せぬ動作がもたらす面白さを考えれば、そこに焦点を絞ったのは正しい判断だと言える。