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パズルゲーム感想アーカイブ

感情は入り交じる色のごとく “ColorFinder”

マヌケの心は白色。蒙昧と忘却の白色。

1マス後ろから押すことでブロックを動かし指定の場所まで運ぶ、いわゆる倉庫番ライクなパズル。
色付きのブロックをそれぞれ指定の場所まで運べばクリアだが、このパズルの特徴として各ブロックはRGBの法則に従い重ねると別の色のブロックになる他、ブロックを押すにはあらかじめ対応する色のパネルを踏み自分が同じ色に染まらなければならないというルールがある。

この作品は今日では珍しい収益度外視の完全無料ゲームである。作中に広告が挟まれたり、機能が制限されることは一切ない。
問題数は少ないが無料ゲームとしては十分なものであるし、パズルゲームには嬉しいアンドゥ機能も完備されている。アンドゥ機能は有料ゲームでも実装されていない作品も多い中、リスタート動作まで含めて巻き戻してくれるアンドゥを実装しているのは素晴らしい評価点である。

そして肝心のパズルの内容のほうも質の高いレベルデザインだった。
目的の色のブロックを押すために同じ色のパネルを踏む過程を挟ませるのがこのパズルのポイントである。色のルールによって余白を削っているため、安易な逆算をしようものなら関係のない色のパネルを踏んでしまい手詰まりとなったり、押したブロックが邪魔になったりする。
目的達成のためにはブロックをどの方向から動かすべきかだけではなく、どの道を辿って押すポイントに辿り着くか、そしてどの順番で動かすべきかを考えなければならない。

それにしても、失った感情を色になぞらえ取り戻していくというストーリーを語るのになぜ倉庫番を土台にしたのだろうか?
倉庫番は元ネタとその名前のせいかはたまた見た目の地味さのせいか、うまく工夫を入れない限りは基本的に仕方なくやっているという消極的な見た目のイメージが拭えないので、失ったものを取り戻すという積極性が必要なストーリーとあまり相性がよくないように思うのだが。
優しいドット絵やBGMで彩られた世界とは似つかわしくない無機質なパズルフィールドは浮いて見えた。
パズル自体の完成度が高かったためパズルさえよければいいマヌケとしてはそこまで気にならなかったものの、パズルとゲームの融合はあまりうまくいっているようには見えなかった。
これはつまり、テーマを持った一つの作品としての訴求力は大してなかったということでもある。
パズルの奴隷たるマヌケとしてはこの作品のレベルデザインが気に入っただけに、制作者が本当に表現したかったことがパズルのおまけではなかったことを願いたい。

追記

ネタバレ項目: 本当に表現したかったこと・解答編

まさか別作品と繋がりを持つことで答え合わせになるなんて……。
結論だけ言えば、パズルはやはりおまけでしかなかったらしい。詳しくは設定を共有する別作品『アンリアルライフ』の感想にて。
この作品のパズルは良作だったのに、引きずられる形で株が落ちてしまった。

関連項目

同制作者による他作品の感想アーカイブ