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パズルゲーム感想アーカイブ

繋がり合う物語の欠片 “Gorogoa”

理屈は後から付いてくる。

ある日街に訪れた神々しい虹色の生き物?に惹かれて旅に出た少年を導く謎解きアドベンチャー。
プレイヤーが操作するのは4枚のパネルが並べられた盤面である。パネルはそれぞれ違った風景を映し出しているが、時に位置を揃えることで共通の一つの絵を映し出したりする。この風景の接続によって異なる風景同士で物や人の受け渡しを行ったりできる他、窓やドアのように枠があるものは枠だけをパネルとして取り出し、別のパネルの上に重ねたりすることができる。
主人公は吹き出しや視線を使って何をしたいか、どこに行きたいかをぼんやりと提示してくるので、プレイヤーはそれらの真意を満たせるように場を整えストーリーを先に進める手助けをすることとなる。

他とは一線を画するパズルという触れ込みのこの作品だが、やることは調べられる場所の探索と何が起こせるかの確認であり、要はポイント&クリックである。
ただこの作品の独創的な点は、本来ならば探索場所を広げる代償としてプレイヤーが労力として支払うこととなる場面遷移という移動システムを、そっくりそのまま謎解きのピースに昇華したことである。
一見無関係で調べることもなさげな場所が何かの通り道になったり、別の場所のギミックを作動させたりと、一般的なポイント&クリックならばプレイヤーが入れ替えることのできない「場所」を入れ替えることで解けるようになる謎があるというのは斬新で面白かった。

ただし、謎解きの内容が面白いかどうかは疑問の残るところである。
ポイント&クリックとしてユニークであることは確かだが、やっていることは同ジャンルの凡百の作品と同じく総当たりであることに変わりはなく、謎解きの内容自体にねじれた枠組をほどく面白さがあったわけでもない。
繋がる情報を見つけるのに、対応のさせ方という形で試行錯誤が必要な点でパズルであることは間違いない。しかしながら、適当にあれこれ試しているうちに何かと何かが嵌って納得する前に勝手に先に進むことが多かったので、パズルであるからには何かを見つけた後にそれを使って何をすべきかを考えるもう一段階があってほしかった。

理解が物語の進行に追い越されることの多かったパズルではあったものの、斬新かつ語らないポイント&クリックでありながら、こうすれば先に進めるのではないだろうか?と自発的に、かつ確かに正解に向かえるようになっていたと考えると、無意識の誘導がとてもうまい作品だったと言える。
ゲームとして新鮮な驚きを大いに味わえるから、この作品はいい意味で雰囲気ゲーと呼べるのかもしれない。