ギミック増量キャンペーン “Marvin The Cube”
自由の代償としてミスを許されなくなるくらいなら、不自由のほうがずっとマシである。
正六面体 “Marvin” を操作して、緑色のゴールパネルまで辿り着けばクリアとなるパズル。
導入されているギミックの種類の多さが特徴で、分類的に似たものを一纏めにすれば多少絞られはするものの、ゲーム内説明文で列挙するならばその数は30近くに上る。それらの性質の違いにより、このパズルは様々な要素が絡み合ったものとなっている。
しかしながら、それらのギミックのうちのいくつかはただ道を塞ぐための存在であったり、問題を段階ごとにわかりやすく分割するための目印のような使い方しかされていない。
着脱可能なブロックをはじめとしたそれ自体が干渉し合いやすいギミックもいくつかはあるのだが、ギミックとギミックを組み合わせて複雑な盤面を構築するまでに至らず、枠組はそれぞれが分離してしまっている。
複数のギミックを組み合わせることで生まれる相乗効果がこのパズルにないわけではないのだが、それはねじれではない。
ではこのパズルで生まれた相乗効果が何なのかというと、それは詰みの状況をより引き起こしやすくしたことである。
そもそもこのパズルに導入されているギミックは崩れる足場、一方通行のリフトやコンベア、時間制限のあるシュレッダー等のやり直しができないものが多い。
それらが互いに組み合わさることで、うっかり動かしてしまった1手で詰む状況が多々発生する。
この作品は手数制限もなければ転回スペースも広めで一見のびのびとプレイできるパズルに見えるが、進めば進むほどその自由はやり直しと隣り合わせの状況へと置き換わっていく。
全部が全部手応えのないレベルデザインというわけではないが、手応えのために払う試行がやり直しの代償と全く釣り合っていないため、結果的にこのパズルは覚えゲーと化していった。
ちなみに、パズル自体には関係のないことだが、主人公Marvinがかわいいと思った。ただの正六面体でも、デザインを変えるまでもなくあの妙な独り言の数々だけで魅力的だった。
あれだけ愛嬌のある正六面体が主人公の物語も実は未完でChapter 1が終わっただけというのは、パズル以外がどうでもいいマヌケとしても不完全燃焼だった。
未解決の問題を巡る一連の物語に続きが来る日は訪れるのだろうか?