飾りに呑まれて “Olimdal”
図書館を名乗るのなら本の一冊でも読ませてほしい。
主人公の移動に連動して家具も動く不思議な部屋からの脱出を試みるパズル。地形や動かない家具などに引っ掛けることで自分の通り道を確保していくスライドパズルである。
基本的には2Dだが、中には天井と部屋の中で2層になった問題や、高さを合わせて家具の上に乗るような2.5Dの問題もある。
魔法の図書館を舞台とした背景の作り込みは凄まじいが、しかしながら内面と外面の作り込みはちぐはぐで、その噛み合わなさはプレイの意欲にすら大きく影響を及ぼすほどだった。
このパズルは移動も地形も2Dフリーなせいで、わずかなずれや家具の凹凸を利用したごまかしたような解答が目立ち、それだけでも既にやる気が失せるのだが、作り込まれた3Dの背景はことごとく視界を遮ってしまっていて、いちいち視点を変えて確かめなければ全体像の把握ができないほどに視認性が悪くて腹が立つ。部屋は図書館の本棚が囲んでいるが、仕切りとして使われてしまうとただの邪魔な目隠しでしかない。
問題は27問と内容は非常に少なくすぐに終わるが、覚えた疲労はかなりのものである。
外面が内面にマイナスの影響をもたらした典型例と言えるだろう。
装飾の作り込み自体が素晴らしいのは確かなのでパズルと噛み合っていないのが余計に残念で仕方がないのだが、主人公が歩けない通路や高台などを見ていると、本来作ろうとしたゲームはもっと別の内容だったのではないかと思わずにはいられない。
というかそうであってほしい。最初からあのパズルを作るつもりで背景を凝ったのだとしたら装飾はパズルをドブに捨てる行為に等しい。