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パズルゲーム感想アーカイブ

ゆるゆるスライドパズルのハイブリッド “PepeLine Adventures”

美しくないくせ歯応え自体は十分にあったのが妙に腹立たしいのだが、結局は群論音痴のマヌケの負け惜しみである。

前作 “PepeLine” に続くシリーズ2作目。
二人の間に一続きの道路ができるようパネルを並び替える基本ルールはそのままに、並び替えの方法が変更されている。前作では空きマスにパネルを一つずつスライドさせる方式だったが、今作では行または列ごとにパネルをまとめてスライドする方式となっている。

見た目も中身もスカスカな前作に比べるとようやくパズルらしくなったものの、それでもパズルの深みは未だに出ていない。
従属して動くスライドパズルの難しさとは一箇所を動かすと連動してずれるものがあることなのだが、このパズルはその特徴を完全に殺す方向に動いてしまっている。道を繋ぐ配線パズルの要素が、不要なパネルを作るという形でスライドパズル側に隙を作ってしまっているのだ。
ほとんどの問題で動かしたくないパネルを簡単に隔離してしまえるため、このパズルは行列がまとめて動くスライドパズルの割に簡単なものになってしまっている。

とはいえ基本的には簡単なこのパズルも、手数評価を設けることでこの手のスライドパズルが本来持つはずの難しさを一応保持している。最小手が実現できるルートの探索と最小手の実現とで配線パズルとスライドパズルの難しさを両立させているのだ。
はたして狙って組み込まれたものなのかどうかは疑問が残るが、一定の歯応えがあるのは間違いない。

パズルに限らず、ゲームというものはプレイヤーに対して残酷になるのは簡単だが、適度な難しさを狙って作るのは難しい。盤面のサイズを広げないでいたのも制作者の良心だと信じたい。
……前作のことや今作の基本的な内容を鑑みると、良質なパズルの追求の結果というよりは、実際はただ偶然そうなっただけなのだろうが。

関連項目

PepeLineシリーズ作品