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パズルゲーム感想アーカイブ

配管講座序論 “Aqueduct 101”

アメリカの大学では、講義に番号を振る際入門講座にあたるものに101の番号が割り当てられる慣例があり、それが転じて101という数字自体が入門や基礎の意味を持つようになったとか。

Aqueduct 101 Screenshot

トレーラーが見つからなかったため画像に差し替え。
スタートである蛇口からゴールである排水溝までが閉じた状態で一続きになるように配管パネルを並び替えるパズルである。
蛇口と排水溝は1対1である必要はなく、複数の蛇口と複数の排水溝とをまとめて繋いでも構わない。当然のことだが蛇口と排水溝が繋がるのは必須であり、蛇口同士や排水溝同士を繋げてもクリアにはならない。

このパズルにおけるパネルは全て1×1であり、並べ替えは基本的に対称性のあるスライド形式である。とはいえ対称性が切れる問題もあるため、スライドパズルの難しさで攻めたパズルではないだろう。盤面を一目見ただけでは完成形がさっぱり読めない問題が目立つあたり、配線をどうするかを問うようなパズルであるように見える。
何をどこに揃えるべきかを明確にして、過程でねじれたもの同士をきちんとほどけるかどうかを問う問題も少なくないが、歯応えのある問題の多くは大量の配管パネルが散らばっていて、一見しただけでは正解が読めないようなものだ。
分岐したパネルの多さには頭を抱えたくなるが、正しく解くには分岐の方向と数をもって可能性を狭めなければならない。向き合いたくないものと否が応でも向き合わざるを得ない構図はまさにマヌケの奴隷労働である。

このように心躍る土台がある作品なのだが、101、つまり入門編と銘打っているだけあって簡単に終わってしまう。
おそらくパネルの位置を入れ替えるための余白が広いからだろうが、問題数も50問弱と少ないので入門編の割には悩まされた気がしながらも、振り返ってみると存外あっさり終わってしまった印象である。
また、個別のレベルデザインに関しても割と疑問の残る点はある。前述の通りギミックの組み合わせによって対称性を損なう、つまり詰んでしまうケースが出る場合があることだ。ギミックの作動順序やタイムラグに合わせて強引にパネルをねじ込む解法が模範解答ということもあるので、実はこのパズルは大して綺麗なわけでもない。

結局この作品はどこまでいっても前座でしかない。お試しと見るか予行演習と見るか、はたまたただの水増しと見るかどうかは各人によるのだろうが、いずれにしろこの作品だけで評価できるものではないというのは間違いない。

関連項目

Aqueductシリーズ作品

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