配管講座実習 “Aqueduct”
備考: Aqueduct 101をプレイ済みであることが望ましい。
配管パネルを並び替えて蛇口から排水溝までの一続きの道を作るパズル。
簡易版であるAqueduct 101 (以下、101と略記) とは違って、今作は問題数も難易度も大幅に増加している。まさに本番、今作こそが本当の戦いである。
このパズルのルールや基本的な性質に関する詳しい言及は101の記事で代えさせてもらうが、簡単に説明すると、Aqueductとは1×1のパネルで構成されたスライドパズルベースの配線パズルである。
101のレベルデザインは配線パズル特有の正解を簡単に読ませないことに主眼を置いたものであり、簡易版たる所以はパネル交換のための余白の広さにあると述べた。
それを踏まえて今作を俯瞰すると、本領発揮したAqueductというパズルのレベルデザインの構成は101からさらに尖り、その結果主に2種類にまとめられるように感じた。
一つは101でもメインだったもので、スタートもゴールもパネルもぐちゃぐちゃにして正解を読ませないという配線パズルの趣向が純粋に濃く表れたものである。
101と比較すると、余白が削られたりコンベヤギミック等によって自由な設置を制限されたりと順当に難しくなっている。
もう一つは今作で顕著になったもので、正解の形は簡単にわかる代わりに、どのパネルをどの順番でどう動かすべきかを考えさせるスライドパズルの趣向が濃く表れたものである。
区別のないパネルでも余白の関係で動かす順番が限られるケースもあるため、目当ての形に並べ替えるにあたってそもそもそれが実現可能なのか否かを見極めなければならないのがこのケースにおける配線パズルの要素である。
このタイプは例外なくギミックが重ねに重ねられているのが特徴で、一目見た瞬間ため息をつかずにはいられない豪華な問題が揃っている。踏むべき手順の数や考えるべきことが多く歯応えはあるのだが、実は色々と欠点を抱えているのも否めない。
これは101でも述べた欠点だったが、ギミックの性質上やり直しが効かなくなるケースが発生することがある。正解の絵面だけを考えていたずらに動かした結果やり直しのできない状況に陥り、かなりの手順を巻き戻される羽目になることは少なくない。
個人的には対称性が壊れることをあまり好ましく思っていないので欠点として目立つものの、対称性を犠牲にして得たねじれやもどかしさといったパズルの深みもまた確かであるから難しいところである。
101から通してAqueductという作品を振り返ると、1×1のパネルしかない簡単な見た目に反して歯応えのあるパズルだった。
仕様の穴が難易度上昇の手段として組み込まれていたり、私が嫌う対称性を奪うギミックの存在も確かにあったが、上げられる難易度や増やせるねじれの数を考えたら導入にも頷ける。
エレガントであるのがベストではあるが、達成感を得るのに必ずしもエレガントである必要はない。