六面体に色付く迷路 “Rubek”
直進なら4歩で1周……なんて馬鹿正直に逆算する必要はない。全ては見えざる手のお導きのままに。
6面白色の正六面体を転がしてゴールを目指すパズル。
通り道には踏むと接地面を指定の色で上書きする着色パネル、特定の色の面でしか接地できない障害パネル、特定の色の面でしか押せないギミック発動パネルがあり、レベルデザインの枠組は面と色と位置との対応を問うものとなっている。
基本的に一本橋で構成されているこのパズルに自由な転回は望めないので、ゴールに辿り着くにはそれぞれの面にどの色を塗るべきか、どのように塗っていくべきかを考えなければならない。
とはいえ、実は大して深く考えるまでもなくこのパズルは解けてしまえる。
盤面が一本橋の寄せ集めで構成されているということは、転回するための思考はすなわちその道をどの順に回るべきかを考えるだけで済んでしまう。一見すると突破が難しそうなカラフルな一本橋も、裏を返せばそこを通るための色に塗らせてくれる周期の噛み合った色塗り用のルートが存在するということである。
なので、周期や向きといったパラメータを自分で考えて合わせたという実感はほとんどない。道の伸びるままに誘導されていて、気づけば勝手に完成形に合っていたというだけである。
終盤には狭い転回スペースを設けて周期を考えさせる問題もあるがそれも部分的でしかなく、盤面全体での逆算を求めるには至っていない。
このパズルには手数による評価が存在するが、基本的に道の通過順を考えるだけのパズルなので細かな手数の変化が重要になる場面はほとんどなく、ゆえに大して難易度上昇に貢献していない。そもそも最高評価ですら最小から少し余裕を残した数に設定されているので、はっきり言って蛇足だった。
周期や位置関係といったパラメータを合わせるパズルというよりも、正しい道順を選ぶパズルであるかのようなこの作品はまるで迷路のようだった。そう見えてしまったのはおそらく一本橋をベースに盤面を作っていたからだろう。
迷路がパズルか否かといえば基本的には否だが、この作品はただの迷路のように思考停止で手を壁に当てて歩いていれば勝手に抜けられるようなものではないため、消去法で誘導されるような作りではあったといえども、少なくともパズルであることは間違いない。