ルールを守って楽しく泳ごう “Swim Out”
ここは無法地帯のプールサイド。一度入ってしまうと上がるまでは地獄の道のりである。
青い帽子のスイマーを操作して、プールから上がればクリアとなるターン制のパズル。プール内には他のスイマーなどがいて、こちらが1ターン分の動きをし終わるとそれ以外の人や物が動くターンとなり、それぞれが決まった動きや泳ぎをする。
他のスイマーの邪魔をしてしまうと注意されてやり直しとなるので、安全にプールから上がるためにはうまく周期をずらして他のスイマーを避けて泳いでいかなければならない。
この周期というものがこのパズルにおけるレベルデザインの枠組となっている。泳ぎ方、つまり周期の違うスイマー達を躱すには自分が泳いで周期をずらす以外にも、プレイヤーが使用可能なアイテム、水棲生物や水流といった周期をずらすギミックを駆使していくこととなる。
だが、このスイマー達はレベルデザイン上のルールとしての存在以上に厄介で腹立たしい。邪魔くさい大きなビート板を持って泳ぎ回る、危険な飛び込みを行う、果てはカヌーで闊歩する、プールサイドから物を投げ込む等皆やりたい放題なくせ、他のスイマーの進路妨害をして怒られるのは青い帽子の操作キャラクターただ一人だけである。
ミスをする度に他の連中はあんなに好き勝手にしているのにと歯痒い思いを抱くことになるこのパズルは、ギミックの豊富さに裏打ちされたレベルデザインの出来の高さや、心地いい喧騒と水音の奏でるハーモニーと明度の高い開放感溢れるプールサイドという穏やかな見た目に反して、不愉快な思いをすることの多い皮肉な作品だった。
それ以外にもUIや演算、処理に関しても不備があり、1手ごとに全体が動く関係か、挙動が重くワンテンポ遅い。
また、実績として手数制限やアイテムの使用制限などのミッションが個別にいくつか設定されているが、複数設定されている場合に必ずしも一度に全て達成する必要はないという説明がなく不親切であると感じた。
この作品はパズルのルールと状況の不整合で評価を下げるという珍しい株の落とし方をしているパズルだった。
不公平が見ていて気分のいいものではないのはゲームでも同じである。