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パズルゲーム感想アーカイブ

奴隷のカルマを映し出した魔鏡 “Perfect Paths”

自らの愚かさに目を背けて一度は逃げ出したマヌケ。
それでも戻って来たのは逃げきりを許す未来の自分への怒りだった。

色付きのブロックが同じ色のゴール地点まで辿り着けるよう、グリッド制の盤面に移動コマンドを記していくパズル。
マスに描かれた矢印は上下右左の順番にコマンドが働き、マスの上にあるブロックを記された通りに動かすが、コマンドは盤面上の同じ矢印全てに対して同時に働く。

レベルデザインは直線的に結ぶと必ず干渉が起こるように作られている。
複数の方向からの進入に対処する交差点やブロックの結合・分離コマンドが存在するものの、狙い通りに移動を分岐させるには干渉を回避できるようなサイクルを考えなければならない。愚直な遠回りで回避することも可能だがそれが通るのも序盤だけで、終盤になれば狭いスペースの中で位置の交換や交差を実現させなければならなくなる。
うまく解き進めるには全体的な構想が必要なのは言うまでもないが、限られた空間内においては時に干渉を利用することすらも有用な手となる。
シンプルなルールに複雑にねじれたレベルデザインの数々が待ち受けるこのパズルの歯応えは十分すぎるほどで、さらにアンドゥやコマ送りといった便利なUIの数々もあり隙は全くない。

だがマヌケは途中で意欲を失い、このパズルを長期間放置してしまっていた。その期間、なんと約2年。その理由はスコアアタックを無視できなかったことにある。
このパズルは使用したコマンドの数とクリアまでに要したサイクルの数でスコアを計測しているのだが、オンラインで集計していて歴代最高スコアが全体だけでなく個別でも常にわかるようになっている。
マヌケは序盤の問題のいくつかで最高スコアが達成できず、その愚かさに自分が嫌になってしまっていたのだが、中盤になればスコア以前にそもそも解けるかどうかも怪しい問題で詰まってしまうことが多くなり、解けてもその酷い解答と酷いスコアを前にしてさらに自信をなくすという負のループに陥ってしまって、終いにはこのパズルをやりたくなくなってしまい、結果として積んでしまったのだ。
汚い解答でもいいから手を止めず動かしてみるのが大事なのだが、それすらも億劫になってしまうほどにこのパズルが素で難しいというのもあった。
ただクリアできただけでも喜ばしいことだと納得させるのに、随分と長い時間がかかってしまった。

レベルデザインが素晴らしいのは確かだが、精神的にとてもきついパズルだった。
クリアまで辿り着けて本当によかったが、酷いスコアを詰める気が起きなければマヌケにとってこれは実質敗北宣言に等しい。
悔しいという気持ちだけが残るのが余計に悔しいが、クリアしただけでよしとしたい。そうでなければマヌケは一生前に進めない。