迷走するサーチライト “BLASK”
ここで隙間を通すのは、理知ではなく無茶である。
ギミックが散らされた箱を自由に動かし、ゴールとなる全ての○に光を当てればクリアとなるパズル。
光は壁に当たると反射の法則に従い入射角と等しい角度でその方向を変化させるが、反射の回数は光の色で異なっている。ちなみに回数を引き上げる易化モードもあるが割愛。
また、それぞれの箱は一切の干渉なく重ね合わせることができ、その分だけ光の跳ね回る空間を広げたり、反射の位置や角度を変えたりすることができる。
箱は一切の制限なく放り出されているわけではない。問題を複雑にしているのは箱をピンで固定する×、一つの光を一段階下の色に変え三方向へと散乱させる▲、複数の色の光をまとめて当てる必要がある∞の三つのギミックである。
面積としては広く見えても箱の固定具合や光とゴールの位置によっては使える空間が限られてしまったり、光の散乱などで複数の光を同時に処理する必要に追われるとそれらを同時に処理できる位置関係を考えなければならなくなったりなど、その内容がパズルであることは間違いない。
しかしながら、結果としてこのパズルは微調整で解くものとなってしまっていたのが面白くなかった。うまい反射のさせ方なんて考えるまでもない。
手札となる箱は限られているので、解決すべき事柄の複数を同時に処理する必要があるのは確かで、それをどう配置するかを考えるのはパズルなのだが、その先はひたすら微調整だけで、それはただの単調な作業でしかない。
過程も汚ければ綺麗な解答になるわけもなく、そこには一切の達成感など存在せず、あるのはただただ疲労感だけである。
このパズルをパズルたらしめる箱だが実は最小ではなく、珍しく綺麗な解答が完成してもなお余ることすらあった始末なのでレベルデザインに模範解答が用意されているかどうか怪しいものだ。
非固定の箱を動かしてゴールに直接当てるという安直の極みとも言えるような手法が最後まで通ってしまうあたり、雑に作ったようにも見えてしまう。
考えるよりもとりあえずいじってみて調整した方が早いという、手先がものを言うタイプのパズルだった。
否が応でも神経質になってしまう枠組に加えて、箱の操作を確定させようにもブレてしまい結果が思い通りに固定されない操作性の悪さ、箱の重なりが目視できない視認性の悪さもあり、感じた苛立ちはかなりのものである。
少しのずれが結果を大きく変えてしまう物の微調整の何が楽しいのだろう。