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パズルゲーム感想アーカイブ

筆順類推法 “SEN: Seven Eight Nine”

この作品に食う7食われる9は存在しない。

SEN: Seven Eight Nine Screenshot

トレーラーが見つからなかったため画像に差し替え。
数字と色のルールに従い盤面上の全てのマスを繋いでいく一筆書きパズルである。

一筆書きの仕方についての説明がなくプレイヤーの理解に委ねていることを特徴としているが、基本的なルールは「同じ色のマスは結べる、違う色でもマスの数字が連番ならば結べる」という単純な内容で終始変わらないので迷うことはない。
むしろパズルとしてはルールを把握してからが本番で、連番は消え数字は途切れ途切れになっていく。それらをいかにして繋ぐかを考えなければならない。
中盤以降は一筆書きを分割して行う問題も出てくるが、そういった問題では一筆書きしたマスは消え残りの数字が下向きの重力に従って落ちるので、落ちものパズルのような先読みを求める趣向も出てくる。

このパズルは単純にクリアする他にも一筆書きの仕方でスコアをつけていて挑戦課題としているのだが、100%を目指すか否かでこのパズルは真逆の評価となる。100%を目指さなければ説明要らずの気持ちよく解ける一筆書きパズルに、100%を目指すとなれば曖昧な基準を満たす為に泥臭く挑む一筆書きパズルとなる。
スコアは基本的には連番で結べば上がっていく。序盤こそ1から9までを一筆書きできるものの、途切れ途切れになったり色によって隔離されると模索の始まりである。
最高評価のためには埋めようのない番号の途切れを最小限に抑えられる繋ぎ方が必要になる。綺麗な答えは絶対無理だとしても、可能な限り一番綺麗な答えを探すしかないのだ。
スコアは問題を囲う枠をゲージとして、リアルタイムに連動して確認できるようになっているが、引き方を変えてはゲージを確かめることの繰り返しで、その探索はひたすらに泥臭い。

そのアプローチはルールに従って解いているのではなく、まるでゲージのご機嫌取りをしているようで嫌になるのだが、それ以前の欠点として、ゲージが機能しない問題が存在してしまっている。
何をやってもゲージが動かない、ゲージの上では100未満のはずなのに満点評価となるなど、スコアの算出基準の不透明さに拍車をかけている。
正解か否かを判定する役割に信頼性がない以上達成感などあるはずもなく、解いたところで残るのは釈然としない思いだけだった。

評価基準の曖昧さに隠れているが、このゲームは操作性にも欠点も抱えていてストレスが溜まった。
手を離すと一筆書きが途切れる仕様のせいで試行錯誤が面倒で、また線は引くのは簡単でも巻き戻すには反応が悪く、純粋な一筆書きパズルのUIとして使いやすいとはとても言えない。

不透明な評価基準に泥臭く迎合するパズルに言いようのない疎ましさを感じたマヌケとしては、わざわざルールを隠すことにこだわる必要があったのかと思ってしまう。
分割解答の落ちもの一筆だけで十分だった。