犠牲の取捨選択 “Sole Light”
It's Home, isn't it?
—the Slave of Puzzle
通った足場が消えていく盤面で、足場を確保しながらゴールを目指すパズル。
足場の確保は主に岩を押してスイッチを起動させることで行うが、このパズルの特徴としてfacelessと呼ばれる奴隷たちが存在し、主人公の移動と連動して動かすことができる。彼らの連動は任意で切り替えることができ、主人公の範囲外のスイッチを押したり、自らを犠牲に扉を開いたりなど、それぞれに異なる役割を担わせることができる。
消える足場と岩を押すという基本ルールから一筆書きパズルと倉庫番の合いの子のように見えるが、レベルデザインはどの順番でスイッチを起動させていくかという並び替えを主軸としている。
だからといって下地が消えてしまっているわけではない。連動などに伴う厳密な1マスが問われることはないが、足場と使用可能なfacelessが限られている以上、誰がどこをどのようにどの順番で通るかはしっかりと問われる。
しかしながら、ほとんどの問題は単調だった。
スイッチで起動する裏側等に盤面の一部を隠したりなど嫌らしいことをしてくることにも腹が立つが、それ以上に揃えるまでもなく勝手に揃うことの多さに辟易する。
ただし、全てが単調というわけではない。
勝手に揃う問題は単調だが、揃えなければならない問題は意外な歯応えがある。特に5-5の無犠牲クリアはそれだけで魅力と言えるほど素晴らしい内容だった。
ギミックが道なりに並んでいるようでそうではなく、その順番に一意性があるというようなねじれを持たせることができれば、選択肢が狭いとしても単調なパズルではなくなる可能性は十分にある。
レベルデザインは可能性を感じるものの、システムのデザインは可能性の一切もない欠点ばかりだった。テンポも操作性も悪く、パズルがより退屈に感じられた。
特にわけがわからないのがアンドゥとリスタートの仕様である。
アンドゥはたったの一歩しか巻き戻すことができず、しかもfacelessの移動やギミックの起動には適応外で無用の長物と化している。
リスタートは最初からとチェックポイントからが選べるが、チェックポイントは区切りではなく解答中に差し込まれるので詰んだ中間セーブが出来上がることもある始末である。そして一度中間セーブを作ってしまうと、どちらから始めるかの確認が入ってテンポが悪くなってしまう。
良作となりうるポテンシャルは感じられたものの、内外でそれ以上に感じた苛立ちのほうが大きく勝ったというのが正直なところである。
余談だが、死体の数え方にバグがあるのか、犠牲者数関係の実績が一切解除されなかった。
最初からやり直して4-1の1体以外のfacelessの犠牲を出さずにクリアもしてみたが特に何もなかった。
死んでも生かされても何も変わらない。まさにディストピア。