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パズルゲーム感想アーカイブ

廻り繋がる移ろいの星々 “Stars Wheel”

星の結びつきのルールは星座と同じ。全ては決めた者の気まぐれ。

格子点上に色とりどりの星が散りばめられた正方形の盤面を操作して、星同士の結合を決められた数だけ作るパズル。
角張った見た目ゆえわかりにくいが、星の移動は単位正方形の中心を軸にした回転移動という回転式のスライドパズルとなっている。

星は基本的に同色同士でのみ結合可能で、全ての星は最低一つは結合を持たねばならない。一つの星から伸ばせる結合の手は2本までなので、同色の星を十字に配置するといったことはできない。ゆえに結合方式は基本的に一つの線を伸ばすか閉じた矩形を作るかの二択となる。
満たすべき条件である結合の数はぴったりその通りの数に揃えなければならないので、条件の数が少ない場合などは意図的に結合を切って数を減らす必要も出てくる。
他に特殊なルールを持つ星として、どんな色の星とも繋がれて結合の手も4方向分完備しているが、盤面上に存在する全ての色の星と一つ以上の結合を持たねばならない灰色の星と、同じ色の星で上下左右を十字に囲み閉じ込めなければならないグラデーションのかかった星が存在する。

以上のルールで最大4個の星が従属して動くこのパズルだが、終盤の問題を除き格子点の余白は割と多いので、スライドパズル特有の一つ動かせば連動して動くものがあるもどかしさは弱い。また結合の数と特殊な星以外の制限はなく位置などに特別な指定が入ることもないので、余白の多さと合わせてどんな盤面からでも結合の数をフレキシブルに調整できるゆとりがある。
要は、このパズルは従属するスライドパズルであるにもかかわらずとても簡単だということだ。理屈に頼らずとも直感でも解けてしまえる。

しかしながら、このパズルは重大な欠点を一つ抱えてしまっている。それは結合の手を伸ばす優先順位に関するルールが不明瞭なことだ。
ただ説明がないだけならば経験で察することもできるが、それすらもできなかったほど結合のルールは複雑かつ曖昧なようだ。同じように揃えても場合によって結合の手の伸びる方向が変わったりと再現性が得られず、一貫したルールを読み取ることは最後までできなかった。
パズルという理屈を武器に戦うジャンルのゲームで、当たり前に浮上するであろう疑問に対しての回答が誘導すらもなくぼかされたままというのは好ましくない。
結局マヌケはこのパズルを「とりあえずこう並べたらこう繋がる」という過去の実績を組み合わせて結合数の最大を取りつつ、多ければ結合をバラしていくという単調なスキームで解いた。

このパズルがスライドパズルとして簡単な内容だったのはある意味よかったことなのかもしれない。大事なルールについてぼかされたまま、手数制限が付き余白が減り盤面が広がり……なんて考えたくもない。