わかりやすさのサンプル “OXXO”
第一印象から内容が二転三転していくパズル。それでも共通するのは直感で解ける内容だということ。
定められた条件を満たすようにパネルをスライドして位置を揃えていくパズル。
基本的なルールは同じマークのパネル同士を他のマークとの隣接がない独立した状態で接触させるというもので、この隣接関係はさらに発展してあみだくじのような線の対応や同行同列の対応といった非接触な位置関係をも組ませるようになっていく。
このパズルの特徴として特筆すべきことは、ルールが全て直感的に理解できるわかりやすいものだということだろう。
2×1の矩形ブロックは角を利用することで転回ができるというユニークなルールも含め、自然とそのルールを把握し利用できるように作られているのでサクサク進む。
またギミックの内容によってパズルが持つ性質も変わってくる。滑る床のギミックもあるし、対応関係を感知して動かせるようになるギミックが出れば動かす順番が重要になってくる。
しかしながら、ギミック同士の複合はあまりうまくいっているようには見えず、どちらかといえば使用したギミックがその問題の性質を決めてしまっているような気がした。要はパズルの一貫性が薄いということだ。
パネルを掴んで疑似矩形パネルを形作れるパネルと自力移動不可の青パネルを組み合わせた問題などはミニマルな良問として輝いていたものの、あとは多種多様なパズルの薄味詰め合わせといったところだった。
手軽さで語るならばおつまみパズルたりうるものの、なまじ良問が存在しているせいでそれ以外の問題が相対的に殊更単調に感じてしまうため、この作品をおつまみパズルと呼びたくない気持ちがある。一応問題数が少なく簡単ですぐ終わるという事実もあるが、このパズルをおつまみパズルと呼びたくない理由の本質はそこではない。
おつまみパズルであるからにはいつ齧っても同じ面白さが担保されていてほしいというのがマヌケの考えなので、そこにばらつきがあってほしくはない。
このパズルは内面の面白さで語ると大味だが、外面のデザインに関しては素晴らしい出来として映る。色々とギミックの追加はあったものの、その全てで迷うことなく自然と手を動かすことができた。
わかりやすいルールを語るものとして、このパズルのデザインが優秀なのは間違いない。
パズルとしては中途半端だったものの、デザインの所々に良さが光るパズルだった。それらは間違いなく凡庸なパズルとは一線を画すものである。