錬金術師の暗い午睡 “Waking Violet”
Goodbye dreaming Violet, hello waking Violet.
錬金術師の夢の中を舞台に繰り広げられる倉庫番ライクなパズル。
Violetは早く大人になりたいと願うだけの普通の女の子だが、彼女が囚われた世界では悪夢の主である錬金術師の力を反映してか、魔力を払うことで様々な魔法を使うことができる。
盤面上のどこかにある時計を取得することでゴールへの道が開かれるが、それは同時に時を止められていた化け物が動き出すことをも意味する。
プレイヤーはVioletが悪夢から安全に抜け出せるよう知恵を絞ることとなる。
このパズルはグリッド制でありながら0.5単位の移動ができるのが特徴で、半分ずらした位置に箱を置き2マス分の範囲を保護したりなど、この性質を利用した解法が最初から当たり前のように求められる。
倉庫番らしく1マスのスペースの足りなさや壁がデッドエンドになるジレンマなども健在なので、この0.5を活用したギミックの取捨選択がパズルを解く上での鍵となる。
しかしながら、その0.5はレベルデザインのプラス以上に引き起こしてしまったマイナスの側面が大きかったように思う。
このパズルでは時間制限といったアクション要素が求められることがあるが、この0.5でつっかえてしまうことが多々あった。
また、移動量が実質2倍であるにも関わらず、盤面が1マスを基準に作ったかのように広大なので、テンポが悪くなってしまっていた。
さらには、UIやグラフィックといった外面の基本的なデザインにも影響が出ていた。盤面はグリッドで区切られているが、Violetの足の位置が1で線上で0.5でマスの中央と一般的なグリッド制パズルの逆なので混乱してしまうし、0.5で作用できるギミックと1が必要なギミックの区別はわかりにくい。
つくづくパズルのデザインはレベルデザインだけではないということを実感する。
レベルデザインもぼんやりしていて、ギミックの説明も特にスイッチはプレイヤーに丸投げと、はっきりしたデザインから程遠いパズルだった。
ぼやけたパズルで達成感があるはずもなく、残ったのは手応えのなさゆえのわだかまりだけである。