サイケデリック秘密箱 “GNOG”
It is like in the little, the stimulating dream.
キャッチーなデザインの生きた箱を触って遊ぶゲーム。
箱はどれも見た目は奇妙、演出は奇天烈とサイケデリックを体現したようなものばかりだが、ゲームそのものは然るべき手順に則って解体していく謎解きアドベンチャーである。
それぞれの箱にはテーマが設定されていて、箱そのものや箱の中に住まう生き物を満足させることでクリアとなる。ただしこのゲームに言葉は一切ないので、何が求められるのかは箱を観察して推測していく必要がある。
箱には様々なボタンやレバーなどが付いていて、押し方や状況などに応じて変化を返す。予想だにしない反応が返ってくることもあるが、情報の整理や紐付けが必要な謎解きもあるのでやみくもにいじるだけでは解けない。
状況を見て必要な行動を推察しなければいけないが、情報が点つなぎになっているわけでもなく、十分な説明があるわけでもないので、少なくとも自称パズルほど思考を放棄することはできない。
しかしながら、とりあえず何かをやってみるという確認の段階で勝手に進むことのほうが多く、自分で考えて進めた実感に乏しく気が抜ける。
自分で考えて進めたことですらも全てが達成感に繋がったわけではない。試行錯誤がうまく嵌ったギミックもあるが、ボタンを押すのではなく長押しするだとか、回す方向が逆だったとか、ギミックの使い方でつまづいただけだった時は拍子抜けするしかなかった。
また、全てのギミックが謎解きのピースというわけではなく、実績用ですらないただ音を鳴らすだけの飾りでしかないギミックも少なくない。
これは箱を謎解きゲームの舞台ではなく、見て触って楽しむ愉快なおもちゃとしてデザインすることを重視したからなのだろうが、結果的に謎解きに関わらないギミックが解けぬ謎として残ってしまって後味が悪かった。
これは映像作品が付属したおもちゃとして捉えるべきゲームだろう。
謎解きとしての手応えに欠けるだけで、いじってみる楽しさがあるのは確かである。
余談だが、このゲームのデベロッパーであるKO_OPは、別デベロッパーによるパズルゲーム “Lara Croft GO” にて、追加問題集 “The Mirror of Spirits” の制作に関わった実績を持っている。
KO_OPの他作品を見るに、制作者達が得意としているのは今作のように暗黙の物語に従った行動を選ぶアドベンチャーだと思われるが、かつてのコラボのようにルールに則って解くべきパズルの作品が出ないものだろうか。