絡繰の回廊 “hocus 2”
無駄を削ぎ落とし、迷いを捨てたパズル。
遭難はしないけど、悩みもしないなら意味はない。
ペンローズの三角形のような、等角投影の錯視を利用した立体上を巡りゴールを目指すパズル “hocus” のシリーズ2作目。
移動のルールはそのままに、ギミックの追加とクリア条件に変更が入った。前作では辿り着くべきゴールはただ一つだったが、今作ではゴールが複数存在し、それらを全て踏むことでクリアとなる。
またパズルには関係ないが、ブロックの移動が回転から伸縮になりゲームテンポが改善されている。個人的にはコロコロ転がる方が好みだったのだけど。
上下の接地やギミックによる接地面の操作など、解決すべき事柄のバリエーションが前作から変わっていて新鮮ではあるのだが、その犠牲なのか、総じて盤面が単純になってしまっているように感じられた。逆算も容易で、今作で迷子になることはほとんどない。
今作では全体的に盤面のサイズが小さくなっているので、迷路を拡張することよりも錯視による接続先の変更、つまりギミックによって難しくしようとしたように見えるが、分岐点としてわかりやすかったので難化に貢献していたかは微妙なところ。
また、この迷う感覚の希薄化にはゴールを複数用意したことも作用していただろう。いたずらに彷徨って手頃なゴールを踏みまわってから残った場所を潰すというアプローチになってしまうので、そこに至るまでに遠ざけた手順のいくつかが踏まれた状態でのスタートとなってしまう。何も考えずにゴールを増やしたところで、それらが正しく遠ざけられていないのならば意味がないのではないだろうか。
錯視がこのシリーズのパズルのねじれの根拠である以上、慣れてしまうと難しさの担保が難しくなるというのもあるのかもしれないが、それでも想像以上の易化だった。
前作でさんざん迷子になったのが噓のようである。
追記
新ギミックを用いたたった5問の追加だけとささやかなアップデートだが、その内容が接触するとミス扱いになる敵の導入とは……。
パズルにおいてただただ嫌がらせの為だけに置かれた即死ギミックほどつまらないものはない。「難易度を上げる」を「思考を妨害する要素を入れる」と解釈した結果が面白かった試しがない。
前作や他作品からしてそういった愚行を冒すのが考えられないのだけど……どうしてこうなってしまったんだろう。