裏のないおとぎ話 “Roterra”
おとぎ話を裏返したら……現実?
だがこの作品内でひっくり返して出てくるのはひたすらにただの道である。
途切れた道を繋げていき、姫様をゴールへと導くパズル。
一見ただのパネルに見える地面は全て正六面体の一面となっているため、回転で道路の向きを変えたり面を変えることで別の形の道路を出現させることができる。
確かにこのゲームはパズルだったが、基本ルールからしていちいちブロックを回さないと道の分岐の選択肢がわからなかったり、ギミックがどう作用するかも動かさないと把握できなかったりと基本的に手探りを要求する設計になっている。
最初から全て明示された状態で並び替えさせるパズルが好きな私としては苦手なタイプである。
レベルデザインに関しては単調というか、まるで姫様を導くかのようにギミックが整列している印象を受けた。これをグシャグシャにしてしまうだけで一応難易度は上げられるのだが、手探りさせる基本設計を考えるとそれでパズルとして楽しくなるとも思えないから難しい。
一応評価点もあって、このパズルは無理やり割り込んだりでもしない限り詰みの状況が発生することがない。
ギミックの起動順を間違えると詰むようなレベルデザインは簡単に作れたはずなのに、それを一切排除しているのはこのパズルが丁寧に作られたものであるという証拠でもある。
探し物をさせられるのは好きではないのだけど、どうせ手探りさせるゲームという時点でかくれんぼみたいなものなのだから、この作品に限っては多少その要素を遊びとして混ぜてもよかったのではないだろうか。クリアに関与しないブロックはあちこちに余っていたわけだし。
それが一切なかったのは純粋にパズルを作ろうとしたということなのだろうか?装飾過多になるくらいならばストイックなデザインのほうがマシではあるが、せっかくのおとぎ話風の世界観があまり生かされていないような気がした。
それに最小限、赤騎士が触れても特にペナルティがない存在だとわかる説明に代わる何かしらのデザインはほしかった。あんなOPを見たら嫌でも警戒してしまう。
“Flip the Fairytale” のキャッチコピーの割に裏返したのはひたすら地面であり、メタ的に裏返された感覚もなければおとぎ話のファンタジーも薄いゲームではあったが、この作品が真摯に作られたものであることは確かである。