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パズルゲーム感想アーカイブ

裏のおとぎ話 “Roterra Extreme”

おとぎ話とは主役のために舗装された物語である。悪役に順路は示されない。

それぞれの面に異なる地面が描かれた正六面体のブロックが連なる盤面で、ブロックを回し道を繋ぎ主人公をゴールまで導くパズル “Roterra” の続編。
前作の主人公は王の謀略により国を追われた姫様で、彼女が女王として王冠を戴くまでの物語だったが、今作の主人公は前作における悪役だった王であり、物語は女王の戴冠直後から始まる王の逃亡記となっている。

パズルのルールやギミックは前作とほとんど同じである。違いといえば鍵と錠前が追加された程度だろうか。
今作はExtremeと冠するだけあって純粋な高難易度問題集となっている。全20ステージだった前作に対して今作は全10ステージと見かけこそ半分だが、区分けされた一つ一つの盤面のサイズは総じて大きくなり、また一つ一つのステージは長大になっている。チュートリアルからして複数人での協力やスイッチによる盤面の切り替えを要求されるほどなので、簡単な問題で息つく暇はない。

しかしながら、難易度の上げ方として解決すべき事柄を増やしねじることよりも、一目で確認させないことで対応関係を隠すようなやり方が目立っていたのが残念だった。俯瞰不可能なほどに盤面のサイズをいたずらに拡大したり、ギミックで作動するブロックが遠く離れていてどう変わるかの確認に移動が必要だったりなど、パズルをやる前にまるで対応関係の神経衰弱をやらされているかのようである。
このパズルにおいて盤面が広すぎるというのは深刻な問題で、作動に指定のブロックの上にいなければならないギミックなどは複数設置されているとただでさえ往来が多くテンポが悪いのに、移動距離が長くなればさらに悪化してしまう。
また、広い盤面の中に脇道のような形で正解の道を作り、ギミックを駆使して辿り着けるような場所を行き止まりにしてしまったりなど、どこを目指せばいいかすらも隠されることがある始末で、パズルを解いているというよりも、探し物をさせられているかのように感じてしまう。

解決すべき事柄が整列しすぎていて半ば一本道だった前作から比べれば、今作は少なくとも単調ではなかった。だがパズルのピースを互いに遠く離れ離れにし過ぎてしまった今作は、目的をもって何かを目指している感覚が薄く、歯応えこそあれど達成感に結びつかなかった。
最低限どこを目指すべきかだけは明確であってほしかった。

関連項目

Roterraシリーズ