動乱の世の橋梁建設 “Bridge Constructor Medieval”
無資格建築士、軍部に転身。
だがやっているのはいつもと変わらない設計業務と予算調整である。
Bridge Constructorシリーズの三作目。
中世風と銘打っているだけあってそれっぽい特殊なルールの問題もあるが、やることは今までと変わらず予算内に収まる橋の設計である。
ちなみに、今作における橋の建設目的は戦乱の世における低予算での復旧工事であったり、急ぎの用のための急ごしらえの存在だったりする。そのせいだろうか、生身の人間が渡るようになりあまつさえ命を落とす様が可視化されたにもかかわらず、躊躇なくガラクタ橋を架けることができた。
今作には今までになかった特殊なルールの問題が2種類存在する。一つは敵の投石器による石の雨の中でも渡れる橋の建設であり、もう一つは橋の上にいる敵軍を根こそぎ倒すための壊れる橋の建設である。
しかしながら、どちらもコンセプトの割に練り込み不足で、問題数や難易度からしても中途半端だった。
投石ステージは通行者の保護をしながら衝撃力に耐え得る橋を造るルールだが、石はその落下タイミングから軌道に至るまで全てが固定なためそこだけ強化すればよく、おかげで防衛意識の欠片もない橋でもクリアしてしまえる。ランダムにしたほうがコンセプトには沿うものの、パズルでありながら運ゲーになってしまうことを考えるとそれも微妙だろう。
静荷重だけでなく衝撃荷重も考慮しなければならないという発想は面白いが、実際の面白さまで繋げるには難しいだろうか。
落橋ステージは今までの経験が生きてくるルールだが、今までの橋建設では基本的に一つの成功に至るまでに多くの失敗経験を重ねているので、それらの経験の中の何かで事足りてしまう。ゆえにそこに新たな驚きはなかった。
橋の崩落が始まると敵が引き返すというのは確かに難易度を上げるために必要なルールだったが、渡りきる直前に崩落してあとわずかが足りなかった橋なんて過去にいくらでも作ってきた。
対岸までの距離に合わせて逃げる方向を変えたり、部材をあらかじめ固定で配置して壊しにくい環境を用意するなど、工夫を入れる余地はまだあったように思うが、それでもやはり既存の失敗作の流用で済みそうだからこれもまた難しいところである。
今作は新ルールの導入によってマンネリ打破を図ろうとしたのだろうが、結果的にシリーズの中で一番単調な作品だった。
今までにない作品を作ろうとする気概は素晴らしいが、ルールを作ることばかりが楽しくなって問題そのものがつまらなくなっては本末転倒である。
ちなみに、中世に建設されて現存する橋は数多く存在するが、そのどれもが石橋である。とはいえ木造でも数百年を生きたものも存在するのだから凄いものだ。