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パズルゲーム感想アーカイブ

事業転換した橋梁建設 “Bridge Constructor Stunts”

無資格建築士、なぜかスタントマンに転職。
この業界のキャリアパスは一体どうなっているんだ……。

Bridge Constructorシリーズの4作目にして異色作。
橋を架けるパズルゲームという今までのスタイルとは全く異なる、2Dプラットフォームのアクションゲームである。

基本操作は前進と後退のみ。進行方向の制御はエンジン出力の調整に加えてジャンプ台を作ることで対処していくこととなる。これが今作における橋造り要素である。橋はおろか道路ですらない……。
移動の仕様はタイヤのグリップではなく重心を移動させることによるスライドに近い。なので空中で前進や後退を続けると車体がくるくると回転する。この独自のアクションがこのゲームの大きな特徴だろう。
単にゴールすること以外にもスターの回収やフリップ数といったミッションがクリア条件に定められていることもあるので、これらを同時に解決できるようにしなければならない。
フリップや取得した星、走行時に壊したものなどからスコアが算出される。このスコアアタックが想定される楽しみ方の一つだろう。

今作は見た目も中身もパズルから程遠い。考えるべき要素も確かにあるのだが、最終的に必要になってくるのは己のドライビングテクニックである。論理的思考は重要ではないのだ。
どこを通るか、そのために助走に耐えうるジャンプ台を予算内でどう作るかといった今作における橋造りパズルは目的ではなく、自分が快適にアクションを行うためのただの制限および手段に過ぎない。

パズル要素の薄さに目を瞑ったとしても、この作品には根本的な欠点が存在する。
クリア動画だけを切り取って見るとあたかも爽快感のあるアクションゲームであるかのように見えるが、その裏にあるのは由緒正しき橋造りの時代から連なる泥臭いトライアンドエラーによる微調整の連続である。
試作と自操作の二重の試行錯誤が要求されるこの作品は、結果として見た目の爽快感からは程遠いストレスに晒され続けるゲームとなってしまっている。

シリーズの歴史の上でも、誰に向けてのゲームだったのかがさっぱり理解できない作品だった。見る人を楽しませたいのか、パズル以外の新規プレイヤーを獲得したかったのか、シリーズファンに新しい経験をしてほしかったのか……。
いずれにしても、どんなに迷走したとしても本質は積み木遊びで、静的な橋架け (construct bridge) であることは変わらないでいてほしい。

関連項目

Bridge Constructorシリーズ作品