指差呼称ダブルチェックタスク “Hook”
始点ヨシ、終点ヨシ!をひたすら繰り返す全50問、所要時間約30分。
丸いボタンから伸びた線の先にフックが付いていて、ボタンを押すと線で繋がっているフックが引き込まれる。盤面上の全てのフックを引き込めばクリアとなる。
問題にはそれぞれミスの許容回数が決められていて、それが0になってしまうと最初からやり直しとなる。
引き込みは直線的に行われるため、引き込もうとしたフックに別のフックの干渉があれば引き込めずにミスとなる。
盤面は平面だが、フックは複数重なっていたりする他、歪みのない真っ直ぐな棒状のフックもあり、フックの懐の中に収めるように差し込まれていたりする。
また、フックとボタンは1対1対応ではなく、途切れることなく繋がっていれば対応したフックがまとめて引き込まれるため、確認を怠れば予期せぬフックが動いてミスの原因となる。
解き進めるにつれ、線は本数が増え分岐が増え距離が伸び、配線を切り替えるポイントができたり、途切れた2箇所を無線でやり取りしたりするようになっていったりと、盤面はどんどん複雑になっていく。そうして絡まり合った配線の先では複数のフックがまた複雑に折り重なっているため、引き込むべきフックとそれに対応した線とボタンの対応関係を整え、また確かにそのフックだけが引き込める状況であるかを精査しなければならない。
しかしながら、やることといえば引き込むべきフックを見定めたらあとはそれを逆になぞり、そのボタンから伸びる線がそれ以外のフックに繋がらないように接続を切るという二重の確認作業だけである。ただ確かめることが続くだけで、何かを考えることは一切ない。
本来ならばこんな作業そのものとすら言えるような行為をパズルとは呼びたくないのだけど、逆からなぞっていくという行為、つまり逆算そのものを無視して解くことは難しいということを考えると、かろうじてパズルであるとは言えるだろうか。
とはいえ、このゲームはつまらない作業ゲーとして一蹴すべきではない作品であるとマヌケは思っている。工業的デザインの側面から見ると、参考にすべきスマートさが節々に存在する。
まず、解くにあたって絶対に確認が必要になるという構造は見逃せない。慣れると見るまでもなく解決できてしまうような、うっかりミスの温床となるような甘えの隙がないばかりか、同時に難しく考えることを求めないため取り掛かりやすく解決しやすい構造となっている。分岐を切り替えるポイントを増やしたり、ミスの回数ではなく残り手数でボタンの押下回数を制限したりなど、いくらでも難しくするためのアイデアはあるが、間違いなく苛立ちが勝ってしまっていただろう。
また、配線の分岐とただの重なりを点で区別したり、複数のフックの重なりを棒の途切れで表現するという2Dでは難しい重なりをわかりやすく表現したデザインや、ボタンを押してもボタンの上で手を離さなければ引き込みが起動しないという操作ミス対策など、スマートさはUIにも表れている。
パズルと呼ぶにはあまりにも手応えのない作品で達成感は皆無だったが、やる価値は確かにあった。ご安全に!
追記
Hook 2が発売されたのでその宣伝だろうか、今日までに2回のアップデートが入り、追加された問題は19問と内容は約1.4倍となった。ちなみにこの追加19問の所要時間は約1時間弱なので密度はそれ以上に上がったと言えるだろう。
ただ、難易度の上げ方に確認をより面倒にさせるという手法を取っているので、この作品の長所である確認タスクのテンポを損なっているように感じた。これが2の方向性なのだとすると個人的には喜ばしくないのだが、はたして……。