シンプルなようで奥深い「切断」の技巧 “Super Sharp”
引き算だけで足し算の結果を得る方法とは簡単に思いつけるものではない。
私のようなマヌケの引き算はゼロまで引き続けることしかできない。
所定の場所を対応する色の物体で通過させることがクリア条件。使える手段は一直線に切ることだけ。切断によって拘束が解かれた物体は重力に従い落下するので、この性質を利用して解くこととなる。
切り方が絞られているのでできることも限られてくるが、その数少ないできることで何をどう動かすかを考えるのは難しい。
結局物理音痴のマヌケが出したのは、総当たりで偶然が解決の糸口を見つけてくれるのを待つというどうしようもない解答だった。
ゆえに、このパズルを解き終わった直後の感想は、待ち続けるのに疲れたという思考の欠片もないものだった。
とはいえ、それはマヌケがマヌケだからこその感想である。
クリア後に色々とWalkthroughを覗いたことで気づいたのだが、実はこのパズルのレベルデザインはよくできていて、一見無茶な難題でも試行を重ねた末の偶然を待つ必要はなく、現実的なやり直しの回数の範囲内で狙って解けるスマートな解法が存在する。独力では絶対に導き出せなかったであろうその解法の一つ一つが目から鱗だった。
これらを少しでも思いつく努力ができていれば、この作品に対する感想は全く違ったものになっていたに違いない。
ちなみに、このパズルは手数制限という形で特別クリア枠が設けられているが、基本的に切れば切るほど取れる手立てはなくなっていくので、さほど必要なかったように思う。
手数を指定したことで手段をある程度絞り込めてしまえるので、むしろなかったほうがよかったんじゃないか?
1Button Complete Puzzle Bundleの中でも他作品とは全く違うタイプのパズルなので、難易度を同じ指標で測っていいものなのかは疑問が残るが、もし全問手数制限内クリアまでにかかった時間で測るのであれば、問題数の差を加味しても実はそこまで難しいわけでもなかった。
とはいえ、総当たりに追い込まれてしまうならば結果的にそれは自力では解答に思い至れない、つまり難しいパズルであるという見方もできるかもしれない。